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2009年3月4日水曜日

米国大学での査定&昇格システム (RTP: Retention, Tenure, & Promotion): 助教授と准教授のはるかなる違い

2月初旬、私の所属するカレッジ、HFA (College of Humanities and Find Arts) の RTP committee (昇進査定委員会)から公式文書が届いた。「教授への昇進を推薦する。」というもの。「やっとここまできたか。」うれしいというより安堵感で一杯。実はまだまだ最終決定ではなくて、内定の段階。このあとProvost (副学長)の正式の承認書が4月頃届き、それで決定ということになる。

2/26の記事で、米国で大学教員を正式公募する時の公募方法、そして採用方法についてちょっと紹介したように、どこの大学でも似たような内容&条件で公募を行う。そして大学で博士号を取得後就職する際、年齢に関係なく、「助教授 (assistant professor」でまず採用されることになる。が、採用された後、どのようにステップアップ(昇格)していくのかも、かなり体系的なルールに基づいて決められている。例えば、「教授」が退職して、ポストが一つ空いたので、そこを埋めるために准教授の中から誰かが選ばれて、晴れて教授になるというようなことはない。ポストの数に関係なく、また年齢に関係なく、査定時期に従って、「助教授」から「准教授」にそして「教授」へと査定され、昇格というプロセスを踏むのである。

それでは、どういう風に昇格していくのかというと、まず米国の場合、「テニュア(Tenure)」というシステムを説明する必要がある。このテニュアという言葉を手元の辞書で調べて見ると「(特に大学教員の)終身在職権:通常 Associate Professorに昇格すると取得できる」と書いてある。つまり、助教授から准教授に昇格して初めて、その大学でのポジジョンが保証されるということ。逆に言うと、准教授に昇格するまでは、極端な言い方をすると、まだ仮採用の段階で、査定の結果によっては、首になってしまうこともあるということである。そう、「助」と「准」ではポスト的に雲泥の差があるのである。

通常「助教授」から「准教授」に昇格するまで、毎年査定委員会によって査定され、6年目の年に最終査定が行われ、うまく行けば7年目から晴れて「准教授」、これで肩たたきからの不安からは解放されることになる。

うちの大学では、大学共通の査定項目と条件(Standards:下記の4つの項目)があり、その内容は、また学部ごとに詳細に決められている。

A. Teaching and related activities (教授&指導の効果性)
B. Research, scholarship and creative activity(研究)
C. Service to the department, college, university, profession and/or community (大学や地域へのサービス&貢献度)
D. Contributions to the strategic plans and goals of the department/unit, college, and university. (大学への貢献度)


Aはどのように効果的に指導しているのか、指導内容&環境作りにどのように対応努力しているのか。これは、まず毎学期実施される「学生の評価結果 (Evaluation)」が一番大きい。さらに、同僚が授業を視察して評価報告もこれ。
Bは「研究」なので、論文を含む出版物、また学会等での発表回数とその質。また研究費をどれだけとってきたかも大きい評価判断になる。
Cは大学内での数ある委員会活動に奉仕しているかどうか、また地域にどれだけ貢献したか(学校とのコラボのイベントの実施やボランティア活動などの)サービス活動が評価の対象。
DはCに近いが、大学(の名前をあげるために)どれだけ貢献したか。(大学外部からの研究助成金の取得など、また外部のアカデミックの役員活動等もこれに入る)

それぞれの項目毎に、明記して Dossier (個人書類ファイル)という報告書類を作成して査定委員会へ提出。(*書類だけで通常100〜200頁くらい。補填参考資料がこの他に加わるので、かなりの量)まず学部の査定委員会が査定、その後それを受けて、大学の査定委員会が査定、最終的に副学長がそれを了承して、最終結果が個人へ正式に通知されるというシステム。

テニアを取得するまで実施される毎年の査定「Retention」は書類提出後、数ヶ月で結果が通知されるが、「Tenure(助から准教授への昇格)」と「 Promotion(教授への昇進)」の場合は、半年の査定プロセスである。(*もちろん書類を作成して提出する方も大変だけど、それを査定する委員会の仕事を半端じゃないくらい大変 。大学にはいろいろな委員会があるけれど、なるべくやりたくない嫌煙される委員会の一つ。同僚を査定するなんて、誰も好んでやりたくないもの。>_<,,,,)


*ユニークなのは、結果に不満がある場合は、最初の通知から2週間以内に反論する権利を与えられていて、書類を提出できることである。(だからといって、結果が翻るとは限らないけれど、、、)余談ですが。

日本ではどのようなシステムなのでしょう?

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