映画のタイトルの下の注意書きに「R (Restricted)」という年齢制限のサインに「ID required」という年齢確認のための身分証明書提示のサインまでついている。どうやら子どもには勧めない映画らしい。エイリアンが出てくるサイエンスフィクションらしいけど、どういうものだろうと気になって批評サイトで検索してみると、86%とすごい高い支持を得ている。これは一つ見てみる価値がありそうと出かけることにした。
感想は一言「ただもうびっくり」そして少々胃が痛くなる後味の悪い映画、でも単なるサイエンスフィクションではない多くを考えさせられる映画だった。
内容はというと、28年前に突然南アフリカのヨハネスバーク上空に現れた数キロにも及ぶ巨大な宇宙船。母星に帰れなくなった宇宙人をヨハネスバークは市内の中に受け入れる地域「District 9」を作って彼らを受け入れることにした。ところが、しばらくしてすぐにその地域はスラム化し、人口が増加、とうとう百万を超すにまでに。人間とのトラブルも増加し、政府は彼らをヨハネスバーク市内から数百キロ離れた場所へ彼らを移すことを決める。そこからがこの映画の始まり。という風にトラブルや宇宙人のスラム生活がドキュメンタリー形式で映され、リロケーション(移転措置)のいきさつがインタビューを挟みながらという風に話は進んでいく。
宇宙人と人間(地球人)という対立で話は作られているが、見てるとすぐにわかる。宇宙人をどこでもいい、地球上に溢れているどこかの難民に置き換えてみればいい。これは今地球のどこかで今起きている出来事を語っているのがよくわかる。この映画の背景を調べてみたら、やはりというかなるほどである。2005年のショートフィルム「Alive in Joburg」社会的人種差別(Social Segregation)を扱ったものがもとになっているという。この映画のタイトル「District 9」も南アフリカのケープタウンにあった悪名高いアパルトヘイト政策の隔離地域「District Six」に影響を受けてとのこと。少々スプラッターで目を覆いたくなるシーンがたくさん出てくるけれど、見る価値のある映画だと思う。(ただこの後食事はのどを通らなくなってしまうかもしれないけど、、、)
映画の最後にナレーションはこう続ける。「この後新しい隔離地域’『District 10』への宇宙人のリロケーションも無事にすみ、現在も人口は増え続け2百万を超えている、、、」と。この後どうなるのかという答えも方向も映画は示唆していない。
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