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2014年1月6日月曜日

Prep for the development of the 2nd touring shojo manga exhibition: 巡回少女マンガ展示会第二弾への準備期間を振り返って「ちょっとした内緒話 ^_6」


今回の展示会は前回(2005-2008)の展示会の複製原画をたたき台にしているので、前回の第一回巡回の準備に比べて、作品自体を集める苦労はそれほどなかったのは事実。ずっと楽だった。しかししかしなの。これら複製作品がこの展示会のための唯一の複製とはいえ、複製は複製。そこで付加価値をつけるためこの複製原画に先生方のサインをいただくことにした。複数プリントが常識の版画によくある「Artist Proof」、アーティストが認めたベスト作品としての「泊」(言葉はちょっと悪いけど)をつけることにした。そのお願いのため先生方にお会いするアポをとるのが結構大変だった。その理由は、もちろん私が日本に滞在する日数が限られているから。(こういう時はいつも「あ〜あ」日本に住んでいたら、もっと臨機応変に時間調整ができるのにい〜とアメリカ在住の自分をうらめしく思う。涙。)

それにも一つ。今回は、どうしても萩尾さんからインタビューをとりかった。結構お会いしているのにもかかわらず、なんと今まで萩尾さんの取材をちゃんととってなかったの。図録はともかく、現在執筆中の少女マンガ関連の本にどうしても萩尾さんのインタビューを入れたいっ!私。萩尾さんは大御所でありながら、少女漫画の普及に関する活動にはとても協力的。ちょっと信じられないくらいのビックヘルプをしてくださる(なんと今回の展示会にも版画美術館のオリジナルアートとの比較をさせてほしいのでとお願いすると5点ご自分で選んで貸して下さった。涙。もちこれはうれし涙)。

昨夏八月のとある日、お父様の初盆で福岡に変えられる萩尾さんを羽田空港で待ち合わせ。45分程の取材を受けてくださることになった。それがなんと予定の飛行機がキャンセル。次の飛行機に。あ〜あ神様。普通はうらんでしまうこのキャンセルも、今回は有り難い神様のいたずらに思えた。ということで空港内のカフェでゆっくりと取材をさせていただいた。内容は?内緒(^_6)。本の中にしっかり書かせていただきますよ。それまで待ってね(あっでもこれは英語出版なので、日本語での紹介はまた折を見て。)一つだけ紹介するとしたら、インタビューの中で「少女漫画の貢献は何だと思いますか?」の私の質問に、じっとしばらく考えていらした萩尾さんが、はっきりと「今までの『少女』の定義を変えたことね。」とおっしゃったこと。その回答におもわず感激の徳。萩尾さん、やはりすご〜い。

その数日後に、今度は牧さん&松本さんご夫婦に会いにうかがった。持参したお二人の複製にサインをいただくのに、牧さんは、ちょうどその時、出版社の打ち合わせをしていらした松本さんに「あなた〜徳さんが複製にサインをお願いしたいんだって、、、」とミーティングを中断させておよびになった。その時の出版社さん、ごめんなさい。そして牧さんへ(妻は強し)ありがとうございます〜!持参した数十枚の作品に全サインという、お二人の大判振る舞いにちょっと恐縮の私でした。この時もたくさんお話しをうかがって楽しい時間を過ごさせていただいのだけど、その中で牧さんが「少女マンガからレディスに行くのは、正直怖かったのよ。今までのファンからそっぽ向かれるんじゃないかと思って。でも自分の年齢にあったものを描きたかったの。」とおっしゃったこと。そして「松本が私のアシスタントとして少女漫画を書き始めたというのは、真っ赤な嘘よ。そういう話しが流れているみたいだけど、その頃にはすでに松本の方がずっと有名になってたのよ。」と牧さん。いえいえ牧先生も有名でしたのは事実。「ちゃんとこのことを伝えておいてね。」とおっしゃられたので、まずはこのブログでご紹介。次の講演の機会の時には、ちゃんと皆さんにお伝えしておきますね。


11月の感謝祭休暇を利用しての帰国の時も何人かの先生にお会いすることができた。上記の写真の里中先生もそのお一人。その前の夏の帰国の時にも事務所にお邪魔させていただいて、サインをいただいたのだが、その時はお忙しいときで、直接の面会はかなわず、マネージャーの野村さんに対応していただいた。秋には別件で再び事務所にお伺いした時に、里中先生がご挨拶に来てくださった。その時久しぶりにお話しをいろいろ伺うことができた。私が先生方にお会いするのにアポに苦労しているのをご存知の先生は、「若手中堅の先生方は皆出版社にがっちり守られているからなかなか会えなくて大変でしょう。」と、そして「直接コンタクトをとることができれば、みなさん気軽に話してくださるのに残念ね。」とも同情してくださった。里中さんのお話しはいつも明快でクリアーだ。2000年にはじめてマンガの研究(美術教育がらみね)の取材として共同研究者のブレントウィルソンと一緒に来日した時に、彼女の話しが一番理解しやすかったとブレントが絶賛していたのも里中先生との取材だったのを思い出した。また萩尾先生同様少女マンガの発展と理解に最も貢献なさっている大御所のお一人でもある。お別れする時に「これが私がオーガナイズする最後の巡回展示会になると思います。」の私の言葉に「いやいやわからないわよ〜。」と笑っておられた里中先生。どうでしょう。ライフワークの一つになってしまう恐れもなきにしもあらずですね。まだその覚悟ができていない徳ですが、、、

そして私の大好きな作品「天然コケッコー」のくらもちふさこ先生にもお会いすることができた。夏にお願いしていたサインが間に合わず、この秋にと時間をとって対処してくださった。くらもち先生の作品は私の方で複製を作らせていただいたものではなく、先生ご自身がご自分で私のために複製を作ってくださったもの。同じ複製でも作家さんご自身が作られたこの複製の価値は百倍だと思う。荻窪のルミネの喫茶店で昼食をご一緒しながら、これまたいろいろなお話しをうかがった。現在の少女マンガ事情について「絵は確かにみなさんうまくなったと思う。でも、、、、」の言葉が印象的だった。里中先生も同じようなことを前におっしゃっていた。マンガは絵ではなくそのオリジナルなストリーにその価値があるというのは同感だと思う(私はその絵にもかなり好みがあるので、まずストーリーありき、そして絵としたいかな。)

あいかわらずばたばたのスケジュールで秋の帰国の日程をこなした私。でも実り多き秋のひと時を過ごさせて頂いた。ご多忙の中、時間を作ってお会いして下さった先生方に感謝。そんな私は幸せもの(笑)。

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